世間の思い込み③〜生活保護受給者に対する誤解〜

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 【生活保護の現状と法改正の問題点】  

憲法に保障された権利なのに、なぜバッシングが?

「不正受給」とは、受給要件を満たしていないのに偽って申請したり、収入があったのに報告すべき手続きを怠ったものを言います。

高収入の親族がいても、扶養義務は「優先」であって「要件」ではないし、 使途の制限はないので、遊興に使ったとしても、それらを不正受給と責めるのは大きな誤解です。

さらには、昨年度の厚生労働省の調査によると、不正受給は全体の0.5%であり、 受給者のほとんどが不正受給であるかのようなバッシングは、全くの的はずれです。

「健康で文化的な最低限度」の生活水準を保つための生活保護制度の利用によって、 基本的人権が侵されることがあってはなりません。  

 

生活保護受給者の実態

生活保護受給者数は、約215万人で、 その内訳は、高齢者世帯が、約46%、 母子世帯が、約9%、 傷病・障がい者世帯が、約36%、 その他世帯が、約9%となっています(平成254月現在)。

けれども、本来、保護を必要とする生活状態の人は、1千万人を超えるとも言われています。

これらの人たちが生活保護につながらない理由としては、 相談窓口で適切な説明がされていない、「丸裸」にされる生活への抵抗、恥の意識や世間体などが挙げられます。

必要とする人の2割しか受給できていない制度が、 果たして「最後のセーフティネット」と言えるのでしょうか。

 

 ●法改正による影響は…

DV被害者や心身に疾患や障がいがあるなど、複雑な手続きが難しい人もいます。 申請時に、申請書と書類添付が義務付けられますが、事情がある場合には、これまで通り口頭申請も可能です。

扶養義務者への扶養照会についても、厚生労働省は、保護が必要な人が保護を受ける妨げとならないよう、慎重に対応する必要があるとの見解を示しています。

また、薬を変えることで体調に影響が出る人もいます。 ジェネリック医薬品の使用も決して義務ではありません。

このような法改正の内容を把握している人ばかりではないことから、 役所の曖昧で恣意的な説明によって、あたかも「義務」や「要件」であるかのように思い込まされ、受給を断念させられる懸念が大です。

今年初めには、全国の3分の1にあたる福祉事務所が、 「扶養義務を果たさないと生活保護は受けられない」などとの誤った書面を送付していたことが判明し、厚生労働省が是正を求める通知を出しています。

 

生活困窮者の自立とは?

生活保護費基準引き下げと引き換えに成立した、「生活困窮者自立支援法」では、まるで扶助費の削減が目的であるかのように、就労支援に重点を置いています。

自立に向けた就労支援は確かに重要ですが、様々な要因で働けず、生活が困窮している場合もあります。 個々の実態に添った生活支援や社会的な孤立を支えるしくみこそが必要です。

憲法が謳っている「健康で文化的な最低限度」の生活水準とは、 経済のみならず、精神面での豊かさも含まれています。 その視点を持たなければ、本当の支援にはなりません。

 

●国分寺市では…

自立支援法の施行に先駆けて、今年1月から、生活困窮者支援事業のモデル事業がスタートしました。 就労支援に向けた相談事業の他、子どもへの学習支援を実施します。

支援を必要とする人にしっかりとつながる社会的な支援となるよう、注視していきます。  

tomoko