「食育推進計画」について〜まち食・共食の取り組みついて〜(9月議会の一般質問⑧)

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片畑⇒人はなぜ食べるのか? 

「体が必要とする栄養を取り入れる」ということもあるが、それだけではない。

たとえば、「今までに食べたもので何が一番おいしかったか」という思い出話でよく耳にするのが、「子どもの頃に食べたおにぎり」であったり、「部活帰りに食べた肉まん」であったり、食べ物ではないが、「山登りの際に飲んだ湧水」であったりなど、
豪華でもなく、栄養満点とも言えないが、「食」によって心が満たされ、心が豊かになるという側面が伺われる。

また、同じ釜の飯を食うという言葉があるが、共に食事をすることは、お互いの距離を縮めることにもなる。

WHOは、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあることをいいます」と定義しているが、
まさに「食」は、「肉体的な健康」のみならず、「精神的な健康」、「社会的な健康」にもつながる。

 

策定中の「食育推進計画」の中にも、食を取り巻く現状と課題が、いくつか挙げられている。
けれども、栄養面のみならず、精神的な健康や社会的な健康の視点から鑑みても、深刻ともいえる現状と課題がある。

 

たとえば、少し前には、人と会食ができなくて、トイレの個室で食事しているという若者が話題になった。
また、高齢者の独り暮らしの場合、食べたいという意欲がわかなかったり、食べたものがおいしいと思えないという、お声を聞く。
さらに、私も経験があるが、小さい子どもと一緒の食事は、落ち着かなくて食べた気がしなくて、なんだかいつも充たされないような思いがあった。

 

今回の通告文にも書いたが、今年の4月に、都市部で孤立感や不安感が広がる中、食をきっかけにしたコミュニティづくり「まち食」の事例を学び合いたいという趣旨で、
「まち食サミット&おたがいさま食堂」というイベントが実施され、いくつかの事例が紹介されている。

 

●板橋の高島平団地の空き店舗に年中無休で「リビング」をオープンし、様々な年齢や国籍の方が御飯当番をするという「おうちごはん」を、2013年度に149回も実施したという、「地域リビング プラスワン」の取り組み。

●健康的なご飯を食べたい大学生と、おかあさん世代の女性たちが、公民館などで一緒にご飯をつくって食べるという、国立市の「おかんめし。」の取り組み、

●その日に集まった人が一緒にご飯を作って、食べて、語り合う「共奏キッチン」。

●子どもと二人っきりの晩御飯は、世間から取り残されたようで辛いという閉塞感を抱いていた女性による、商店街で買ったものを持ち寄って一緒に食べるという「もちより食堂」と、「自分の家族の食事を毎日つくるより、複数家族分の食事をみんなでつくる方がラクチンで、しかも楽しい」ということから、一緒につくって一緒に食べることをコンセプトにした「おたがいさま食堂」などである。

 

人は毎日食事をする。また、誰もが一度くらいは、食事をつくったことがあることから、つくる人と食べる人とは、つなげやすいとも言える。
地域福祉計画に位置付けられた「食育推進計画」であるからこそ、この「まち食」「共食」の取り組みを明文化し、
食を通して、身体のみならず、精神面や社会的な健康を支える地域づくりの実現を目指していただきたいと思うが、いかがか。

 

福祉保健部長⇒今、作成している「健康増進計画」の中に、「食育推進計画」を含んでいる。ご提案を受けとめ、検討したい。

tomoko