目標を達成できたかをはかる「ものさし」として、「ベンチマーク」や「成果指標」があります。

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【平成22年第4回定例会・一般質問より】

ベンチマークとは、単なる数値化ではなく、施策の方向性をより具体化していく、目標の明確化であり、
何を大事と考えるかによって設定する指標が異なってくる。

 

たとえば、一例として取り上げると、現在の長期総合計画の中で「市民参加と協働を拡充します」という重点目標があり、
成果指標の一つとして「ホームページアクセス件数」が設定され、
2016年に90万件という目標値が掲げられている。
確かに数値化されてはいるが、これではアクセスがあったという事実はわかるが、
そのことが、どのような市民の感想につながり、市民参加と協働の拡充において、どのような影響があったのかまではわからない。

意地悪な見方をすると、アクセス件数は上がったとしても、
情報がわかりにくかったり、情報が得られなかったりして、
逆に行政への不満につながり、参加の意思を萎えさせている可能性も考えられる。

これでは、適切な評価をすることはできない。

 

政策の体系化のもと、目的達成のため、ホームページに何を求めるのかを、じっくりと考えることが必要である。

市のホームページを見たことがある市民の数を増やすのか。
ホームページを見て、「役に立った」と感じた市民の数を増やすのか。
ホームページの情報を見て、市政に参加したいと思った市民の数を増やすのか。
ホームページの情報を見て、市民説明会やパブリックコメントなど、実際に市政に参加した市民の数を増やすのか。

その具体的な目的、方向性を示すのが「成果指標」であり、
具体的な目標値が「ベンチマーク」である。

 

今挙げた例を考えてみても、ベンチマークは単なる数値化ではなく、
具体的に目標を設定することによって、
当然のことながら取り組む内容、あるいはレベルや質を固めていく一助につながるということが、お分かりではないかと思う。

 

さらに、わかりやすい例をもう一つ挙げれば、
「ごみの発生・排出抑制、資源化」という重点目標に対して、
現在の計画では、「一人1日あたりのごみ排出量」と「一人1日あたりの資源物収集量」が、成果指標として設定されている。

一人1日あたりのごみ排出量が「現状値の846.9g」に対して「2016年は750g」という、削減された目標値になっているのはわかるが、
一人1日あたりの資源物収集量は「現状値の189.8g」に対して「2016年には300g」という、増加した目標値が設定されている。

ごみの発生・排出抑制を目標にするのであれば、
資源物についても、現状値よりも削減された目標値が設定されなければ、矛盾する。

おそらくこれは、分別が徹底されていない現状値と比較して、分別が徹底されることによって資源物の収集量が増えるという、想定がなされているのであろうが、
であるならば、むしろ燃えるごみや燃えないごみへの「資源物の混入率」を数値化し、削減目標値を設定する方が適切だろうと思う。

 

このように数値化して基準を考えることによって、
施策自体、あるいは方向性について非常に論理的に考えることができる。
それによって、的確なPDCAサイクルが実施され、市民満足度や行政サービスの質向上にもつながる。

 

ただし、そのときに是非心がけていただきたいことは、行政だけでベンチマークを決定するのではなく、
必ず市民参加で考え合っていくということである。

なぜならば、「成果指標」というのは、
「行政だけで達成することはできない」ものだからである。
市民や企業、NPO、国や都などの理解や協働がなければ、達成することはできない。

現状と課題をふまえ、なにを最終目標として位置づけるのか、問題意識を共有しながら多くの市民と考え合っていく過程が何よりも大事である。

 

たとえば、先ほどホームページのアクセスに対する指標の設定を例として挙げたが、
「市民参加と協働を拡充する」という目標を達成するために、市のホームページに何を求めるのか。
また、それは、誰が求めるのか。
行政ではなく、市民である。

市のホームページに対して、「市政情報がよくわかる」という、行政の情報公開の充実のレベルでよいのか。
「市政に参加したい」という、市民の意欲を喚起するレベルまで求めるのか。
あるいは、「さらに参加と協働を進めていく」ために、もっともっと工夫を求めていくのか。
その程度、レベルを決めるのは、決して行政であってはならない。

 

自らが目的を達成する主体である市民が成果指標を選び、決めていくこと、
そのことが確実な実効性につながっていく。

tomoko