大人と子どもの「ものさし」

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学童期の子どもたちの問題がいろいろと取りざたされています。
子どもたちのことを考えるときに、私は常に心がけていることがあります。
それは、今の大人である自分の視点からだけでなく、子どもだった頃の自分を思い出して考えてみるということです。
大人の「ものさし」と、子どもの「ものさし」には違いがあります。
大人から見れば大したことないと思うようなことでも、子どもにとっては重大だったり、
大人にとっては、その子の将来を左右するかのように思われることが、子どもにとっては、一度や二度失敗したとしても、いくらでもやり直しのきくことであったりします。

 

その「ものさしのズレ」があることは、悪いことではなく、むしろ当たり前のことです。
問題は、その「ものさしのズレ」を気づかないで、
同じものさしで物事を見よう、物事に当てはめようとすることです。

 

たとえば、大人から見れば、きれいなドレスで着飾った子どもは晴れやかで、幸せそうに見えます。
でも、子どもにとっては、自由に走り回れない、大好きな泥んこ遊びも制約される、とても窮屈な服でしかありません。

子どもに良かれと思って、ドレスばかり着せていると、子どもにどんな影響が出るでしょうか。

 

たとえば、エスカレーターに乗るという、大人にとっては当たり前の何でもないことも、
小さな子どもにとっては、なかなかタイミングを計れない、とても恐怖を感じる瞬間です。

乗れないことを叱りつけるだけではなにも解決しません。
その恐怖心や、経験の有無などを理解した上での、サポートが大事です。

 

たとえば、学校という場所・教室という空間・同級生という存在についても、大人が今の目線でとらえ・考えるものと、
現に今の子どもたちが感じているものとは大きく違います。

 

私は自分の子育てなどで、困ったことや悩むことがあった時に、
かつて子どもだった自分を思い起こして、
あの年頃の私はどんなことを感じていただろうか、どんなことを不満に感じていただろうか、どんな失敗をして、どんなことに落ち込んで、どうやって立ち直っていったかなどを、考えてみます。

あの頃の自分から見ると、今の自分はどんな評価をされる大人なんだろうかと、振り返ってみるようにしています。

その異なるものさしを見比べて、知識や経験を伴った今の自分がどのように判断していくのか、そのバランス感覚が大事なのではないかと思っています。

 

「今の子どもたちの気持ちがわからない」という大人の声をよく聞きます。
でも、子ども自体は何の「変質」もしていません。
変わったのは、社会と、大人ではないかと、私はずっと思っています。

tomoko